【5】羽村一中、金賞の原動力となった中学生の『無限大の成長力』

全国で活躍する吹奏楽部を応援!オザワ部長のイチオシ!

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スーパーポジティブな中学生、見参!

「日本一です!」

部員に「目標は何ですか?」と聞くと、必ず明るい大きな声でそう返ってくる−−そんなスーパーポジティブな中学校が、東京の羽村市立羽村第一中学校です。

羽村市は東京都北西部にある、緑の多い落ち着いた街。羽村一中の吹奏楽部には、そんな羽村市で育った素直で元気いっぱいの中学生たちが集まっています。

2016年度の部員数は76名。そのうち男子が21名です。他の中学校の吹奏楽部に比べると“男子率”が高めなのも特徴の一つかもしれません。

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今年、オザワ部長が出版した『中学生ブラバン天国』(学研プラス)の取材で7月に羽村一中を訪問したとき、最初にウェルカム演奏として披露してくれたのが、DVD「限界をつくらない!羽村一中・玉寄勝治先生の相乗効果で高め合う『かけ算式』吹奏楽指導」のサンプルムービーにも収録されている《Dancin’ 会津磐梯山》でした。

 

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鮮やかな色のハッピを身にまとった奏者と、お面をつけて軽やかに踊るダンサーたち。
曲がフォルテになるところでのバンバン迫ってくる音圧は、さすが前年の全日本吹奏楽コンクールで大迫力の《天雷无妄》(作曲:天野正道)を演奏し、ゴールド金賞を獲得した学校という感じでした。

《Dancin’ 会津磐梯山》はアップテンポの楽しい曲で、羽村一中の元気っぷりが炸裂していたのですが、部員たちは単に勢いで吹きちらしていたわけではありません。
顧問である玉寄勝治先生の指揮をしっかり見ながら、きれいに揃ったピッチとハーモニーで演奏していたのです。

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中学生を音楽的な高みへ導く玉寄マジック

羽村一中のサウンドは、《Dancin’ 会津磐梯山》のような曲にしろ、《天雷无妄》や今年の自由曲であったハチャトゥリアン作曲《交響曲第3番「シンフォニー・ポエム」》にしろ、音に力があって、よく遠くまで飛ぶ印象があります。
それでいて、「爆音」と呼ばれるような騒々しさはありません。
仲のいい部員たちの素直で前向きな気持ちがそのまま音になったような、よく揃った、澄んだ音がします。

どうやったらそんな音が出せるのか?

もちろん、羽村一中に通う中学生たちが特別なわけではありません。
実は、オザワ部長は今年4月にも羽村一中を訪れていたのですが、そのときは入部したばかりでまだ楽器に触れる前だった中学1年生たちが、7月に取材で羽村一中を再訪したとき、また、DVDの収録に立ち会ったとき、すっかり羽村一中サウンドの一部となって溶け込んでいました。

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まさに、中学1年生を数カ月で大きく成長させ、上級生を音楽的な高みへと導いた指導方法がDVDには収録されています。

 玉寄先生流のトレーニングは、歌うことを根本に置いて音感や音程感、ハーモニーを養っていきます。

中でも特筆すべきは、「ひろせま」「分母分子」といったハンドサインを使ったユニークな基礎練習。視覚的、あるいは動作によって、音楽に必要な感覚を身につけていきます。

 

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DVDでは、なかなか見ることができないホールでの練習が記録されているのもポイントです。
基礎トレーニングの合奏への活かし方に加え、本番でのセッティングの極意を玉寄先生が具体例を示しながら教えてくれます。
各奏者の譜面台の配置一つ取っても、「なるほど!だから、このやり方が良くなくて、このやり方にすべきなのか」というのがよくわかります。

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羽村一中は、今年の全日本吹奏楽コンクールでも2年連続のゴールド金賞を受賞しました。
玉寄先生の指導法と、それによって育まれた中学生たちによるサウンドが全国でもトップレベルであると評価されたということでもあります。

 

子どもたちの『無限大の成長力』を信じること

冒頭の話に戻りますが、羽村一中で部員に目標を聞くと、「全日本吹奏楽コンクールで金賞をとることです!」「日本一です!」という答えが返ってきます。

音楽は競い合うものではない、という考え方があります。
コンクールでは全国大会に出ること、金賞をとることが目的ではない、という指導者の方もたくさんいらっしゃいます。
いずれも正しく、また、教育的にも意味のあることだと思います。

Still1107_00012その一方で、中学生や高校生が「どうせやるなら、日本一になりたい」「どこの学校よりもうまくなりたい」と考えるのも、ごく自然な欲求です。
玉寄先生は生徒たちのその欲求(「意欲」と言い換えてもいいでしょう)を肯定しています。
そして、「中学生だからこのくらいでいい」「このくらいまでしかできない」という限界を作らず、生徒たちがどこまでもすくすくと伸びていくのを後押しします。

玉寄先生の指導と、中学生の無限大の成長力とがひとつになった結果、目標にしていたとおり、全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞する演奏が生み出されているのでしょう。

DVDを参考にすれば、皆さんの学校の生徒たちも音楽的に大きく成長し、見違える(聴き違える?)ようなサウンドを響かせるようになるかもしれません。

オススメです!

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①朝練で基礎の基礎を作る

中学校の吹奏楽部の指導者にとって共通の悩みは「時間のなさ」でしょう。
羽村一中には、一つ一つが短いながらも効果の大きいソルフェージュのメニューがあり、朝練習の時間の中で楽器を吹く前の段階の基礎を効率的に作り上げています。

 


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②「ひろせま」「分母分子」などのユニークな練習

全音・半音の音程を「ひろ(広い)」「せま(狭い)」とし、ハンドサインを使って音程感を歌と動作で身につけていく練習は、初めて見たときに大きなインパクトがありました。
ぜひ多くの学校で取り入れていただきたいです。

 


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③ホール練習の工夫

他校、特に強豪校のホール練習の様子は、興味があってもなかなか目にすることがないものです。
全国大会金賞の羽村一中がセッティングでどんな工夫をしているのか、どんな練習を行っているのかは注目ポイントです。

 


 

 

羽村一中・玉寄先生の指導法に迫ったDVDは…

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和太鼓も取り入れたポップス調の民謡《Dancin’ 会津磐梯山》の演奏では、朝からパワー全開!!
明るく、ノリの良い曲調で、生徒たちが伝統的な民謡のメロディ・リズムなどに親しむ機会になります。

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ハンドサインを使ったユニークな練習は、音程感を視覚的・行動的に理解し、身につけるのに非常に役立つでしょう。
すでに羽村一中の生徒たちはかなりしっかりした音感を身につけているのがわかります。
全国レベルの演奏の基礎がここで作られています。

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真剣に打ち合わせをする玉寄先生と制作担当のスタッフさん。緊張感のある撮影が続きます。

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楽器を使ったソルフェージュでは、歌でやったことを歌だけに終わらせず、楽器にまで落とし込むことで、吹奏楽の演奏のレベルアップが実現できます。
この練習により、「歌うように吹く」ということの基礎が身についていくでしょう。

M69hamura06午後はホールでのセッティング方法と、大編成・小編成曲の楽曲指導の撮影を行いました。
指導者の方には、正確な演奏を導き出す玉寄先生の指揮法は非常に参考になるのではないでしょうか。

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演奏にセッティングに存在感を示している男子部員たち。とっても頼もしい!

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撮影を終えた玉寄先生と羽村第一中学校吹奏楽部の皆さん。
真剣に収録に臨みつつ、先生がNGを出すたびに生徒たちは大爆笑。そんな明るさも羽村一中の特徴です。

M69hamura08DVDでは部長、副部長さんと玉寄先生との対談も収録されています。
普段はなかなか聞くことのできないお話をたくさんうかがうことができました!

 

■オザワ部長(吹奏楽作家)PROFILE
神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部卒。吹奏楽の楽しさを伝えるために書籍、雑誌、ウェブサイト、ラジオ、SNSなどのメディアで日夜活動中。著書に『みんなのあるある吹奏楽部』、『翔べ!私たちのコンクール』、『あるある吹ペディア』、『吹部ノート』など。最新刊はカリスマ指導者・藤重佳久先生との共著『きばれ! 長崎ブラバンガールズ』。

 

 

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